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木の語り部通信

#13 劣化スピード

一般に、建物の強度と言いますと、主に力学的強度のことを言います。しかし、建物で重要なことは、一時的な強度よりも、耐久性がいかに有るか、つまり、強度の劣化がいかに遅いかということです。コンクリートで50年、厚さ1.2~3.2mmの軽量鉄骨は、何年保つというのでしょうか。
木も金具で緊結したり、パネル化して面(壁)で支えることは、劣化スピードを早める事になります。木は露して呼吸させることが何より大切です。合板で囲うことは息を止め、木の大きな支障になります。又、柱の見えない大壁工法は、土台も柱も結露で、ふけていきます。
木には腐れに強い木と、弱い木が有り、ホワイトウッド・レッドウッド(北欧・集成材)、SPF(北アメリカ、カナダ・2×4部材)、赤松(ヨーロッパ・ログハウス材)等は、シロアリや腐れに弱く、湿気の多い日本の風土にに合わない木です。
木挽・大工・左官など日本伝統の職人が、最も腐心し工夫を凝らした事は、実は、いかにして劣化スピードを押さえ長持ちさせるかという事だったのです。

文・安達公一(東出雲町下意東) / 生活応援情報紙りびえ~る 平成16年10月24日掲載より

#14 引き戸のお話

昭和40年以前の家は、ほとんど和室でドアはありません。玄関や外廻りは木製建具、ガラス戸、あるいは板戸。内は障子、ふすま。もちろん、町内の建具職人の手によるものでした。
ドアは外部と遮断するもので、開けた状態は不始末、家の内のドアは家族同士を遮断します。良い子が育ちません。一方、玄関の引き戸は、人を招きます。引き戸は時々の用に合わせた空間をつくり出します。閉めても開けても、取り払ってもいずれも正常な形です。障子越しに子どもたちは、大人の会話や、やりとりをおぼろげに感じ、聞きながら成長します。常に一緒にいるという安心感をもたらします。障子の開けたてや、座ってのお辞儀などの躾もできます。
躾とは身を美しくする、立ち居振る舞いを正しく導くことです。玄関のアルミや鉄の大きなドアは、いかにも外と遮断するバリアです。次々に家の玄関がすべてドアにされたとき、果たして地域のコミュニティーは保たれるのでしょうか。私たちは家に住んでいるのではなく、この地域に住んでいるのです。町の建具職人の手の音が、今にも消えそうです。

文・安達公一(東出雲町下意東) / 生活応援情報紙りびえ~る 平成16年11月14日掲載より

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