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木の語り部通信

#17 寒の水にさらす

古来、人々は自然を受け入れ、崇拝し、時にはうまく活用することで生活を豊かにしてきました。「寒の水にさらす」ことは、木を扱ってきた人々の長年の経験から生まれた知恵だと思います。木材にとって梅雨や夏の雨は大敵で、ぬらさぬように最も気を使うのがこの季節です。反対に寒の時分(1~2月)の雪や雨にぬらすことを「寒の水にさらす」といい、木材にとっては大変有益なことなのです。虫が付きにくく、腐れにくく、長く保つようになります。私が雨を気にしないで居れるのはこの時期だけです。また、土壁の竹小舞を編む小縄も寒の水にさらしたものは何百年も虫が付かずに保っています。「寒干し」、「寒げいこ」、「寒中水泳」、「寒中見舞い」。寒の季節ならではのものがあるようです。
私は子どものころ、正月に雪が積もってないと正月のような気がしませんでした。雪だるまやかまくらを作り、夜にろうそくの明かりを持ち込んだり、軒下にはつららが下がり、竹ぞりで遊んだ楽しい記憶があります。年末、会社の後ろの落葉樹にたくさん葉っぱが残っていました。寒は寒らしくあってほしいと願うばかりです。

文・安達公一(東出雲町下意東) / 生活応援情報紙りびえ~る 平成16年12月26日掲載より

#18 お正月

私の家は4代前の斧次郎が木挽きを始め、今に至ります。今でも正月には大師さん祭りをします。大師さんとは聖徳太子のことで、木を扱う職人の神様です。大鋸(おが)と斧と曲尺を床の間に飾り、御神酒、祝い餅を供え、輪じめをかけます。また、力祝いと言って、三方に米一升、力餅、その上におひねりを供えます。力餅には力が出るようにと飾り昆布で鉢巻きをします。神棚、えびすさん、仏壇には門松を男松は向かって右に、女松は左に供えます。
2日の朝は挽き初めです。工場内を塩と御神酒で清め、製材をします。直会の後、祝儀を出して1年の始まりです。今年も良い年でありますように。
※大鋸は縦挽き鋸で、その挽きくずをおがくずと言います。神奈川の削ろう会では、林以一氏(木挽職)が刃渡り2尺の大鋸で楠を挽き、あたりに何ともいえない芳香が漂いました。私は祖父の用いた尺8寸の大鋸を、名古屋の酒井田淳一氏(鋸目立職)に目立てをお願いし、いつでも使える状態で飾っています。

文・安達公一(東出雲町下意東) / 生活応援情報紙りびえ~る 平成17年1月9日掲載より

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