この会は、木の良さ、すばらしさを再認識し、人にやさしい“木の家づくり”と島根県産材の地産地消及び健全な森づくりを目的に、地元工務店と木材業者により設立しました。
木の家展示館「木のふれあい遊館」を拠点に活動しています。
木の語り部通信
#19 大黒柱
昔は大黒柱のある立派な家がたくさんありました。あるとき、築何百年という古い民家が壊され、年老いた主人が黒光りのした立派な大黒柱をさすりながら涙しておられる姿を拝見し、私は熱いものが込み上げ「これが本物の家だ」という思いを強く持ちました。人と家が一体で、家の一部が住人なのです。
人々は大黒柱に宇宙の神が宿ると考えていたようです。構造的にも大変丈夫で、見るからに安心感もあります。素材はケヤキ、クリ、マツ、スギ、ヒノキなどです。ケヤキやクリは特に素性が良くて、十分に乾いた物でないと使えません。ケヤキがねじれると家全体がねじれます。ケヤキにはそれほど強い力があります。私は数年前から大黒柱を作り、何本も使っていただきました。先月は6m、24cm角の大黒と3m、21cm角の副大黒を立てました。狂いが少なく安心なのはスギ材です。スギは80年ぐらいで大人になり、バランス良く芯をとらえて製材すると狂いません。12cm角の柱がときに狂うのは、まだ子供だからです。大人になると木味も良くなり丈夫で安定します。世の中、何事もかなめとなる中心が大切です。大黒柱は家の「お父さん」なのです。
文・安達公一(東出雲町下意東) / 生活応援情報紙りびえ~る 平成17年1月23日掲載より
#20 年単価
現在、住宅は坪いくら、坪単価という考え方が一般的ですが、昔は人工数、つまり職人が何人役かかってできたかということが、家の価値の大きな目安であったようです。
家を建てる人は、隣が何人役かかったのなら、自分はそれ以上の手間をかけて家を建てたいと考えていたようです。それが人知れぬ誇りであると同時に、手間をかけた分だけ大切にして4代、5代も住み続けることができたのです。
戦後、日本の住宅の平均寿命は25年といわれてきました。そこで、例えば50坪の家が2000万円なら坪40万円。25年保てば年単価は80万円です。同じく3000万円なら坪60万円。しかしこの家が60年保てば年単価は50万円です。つまり、坪単価がいくら安くても、短命なら高くつくということです。それが、私の言う年単価の考え方です。
長く保つことは、同時に環境にやさしい行為となります。そこで、これからは80年は保つことが必要だと考えます。子どもも、孫も、住宅ローンは不要となります。世界の国々の中で、大手ハウスメーカーの存在や、各世代がみんな住宅ローンを抱えていることは日本だけのなのです。
文・安達公一(東出雲町下意東) / 生活応援情報紙りびえ~る 平成17年2月13日掲載より
NEXT : #21 罔象(みずは)女神
