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木の語り部通信

#21 罔象(みずは)女神

棟桁に書く文字の頭に(水)と書くのをご存じの人は多いと思います。火難に遭わぬよう祈りを込めて水の神様を祀る意味があります。倉の妻の壁の上部に龍の絵や文字を表すのも同様です。
昔は、生活に使うエネルギーはすべて生火で、煮炊きもお風呂も暖をとるのもすべて炎の上がる生火。しかも建物の屋根は草葺で、火災の危険が高いうえに、消火器具もないので、一度火災が起こると消すすべがありませんでした。
「火事は江戸の華」と言われたように、どの町も大火を経験しています。しかし、記録によれば死者はほとんど出てないようです。厚い木材は表面が炭化して燃えるのに長時間を要し、また木や竹や草などの自然素材は有毒ガスを出しませんから、十分に逃げおおせたのです。
今日の消防法の基準をクリアしたはずの住宅の火災では、ぼやでも死者が出ます。消防法や建築基準法は木材に厳しい使用制限をかけていますが、建物を守るためには有効でも、人命を守るうえではあまり機能していません。
生命の根源であると同時に火災を食い止める重要な資源でもある水。その水の神様は女神様で「罔象(みずは)女神」と言い、私の住む東出雲町にある高清水神社の御祭神は、罔象女神です。

文・安達公一(東出雲町下意東) / 生活応援情報紙りびえ~る 平成17年2月27日掲載より

#22 今、問いかけたいこと

日本の住まいは昭和40年ごろから変わり始め、今ではすっかり洋風化して畳の部屋は1部屋、中には1部屋もない家も珍しくありません。その結果、畳屋さんも建具屋さんも左官さんも仕事がなくなりました。また山の人たちがせっかく手入れをした節のない柱木や、何代もかけて育てた樹齢何百年という銘木の用材も価格が暴落しました。その上、鉄やコンクリートの家が建てられ、輸入住宅も珍しくありません。
1つのマンションが1つの小さな町ができるほどの木材需要を奪っています。現在、国民1人当たりの木材の年間使用量は、アメリカの半分になりました。その少ない使用量の中でも国産材は2割に届きません。そのため、各地で原木市場は転廃業に追い込まれ、製材所はのこぎりをはずしています。山の仕事はなくなり、山も棚田も見捨てられ、かつて「国破れて山河あり」とうたわれた山河は元気でいるのでしょうか。経済優先、効率優先、科学信仰、グローバリゼーションで街がどんどん変わっていきます。
今、私たちは問いかけてみましょう。
「山河は清いか魚住むか、子どもは元気か日本住宅どこへいく」

文・安達公一(東出雲町下意東) / 生活応援情報紙りびえ~る 平成17年3月13日掲載より

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